
「単発の売り上げしかない」と嘆いているあなたへ
「税理士や社労士は毎月報酬がもらえる顧問があってうらやましい…」
「毎月課金できるビジネスっていいよね」
「単発の業務しかないから新規の獲得が苦しい…」
司法書士や行政書士は「顧問」というサービスの概念があまりないため、単発の売り上げに頼らざるを得ません。
私も顧問先は一社もなし。
毎月報酬をいただく仕組みやサービスは、現在のところありません。
それで、「単発の売り上げ」であることが、さも望ましくないような風潮がありますが、はたして本当にそうなのでしょうか。
自分のこれまでの6年間を振り返ってみると、「決してそんなことはない」ということに気付きました。
スポット案件のいいところ
スポット案件は、ある意味で「売り切り型」なので人間関係に煩わされることがありません。
司法書士の仕事でいえば、登記が無事に完了して、登記事項証明書を納品すればそれで任務は完了です。
仮に、どうしようもないくらい相性が悪いお客様だったとしても案件が終われば、それで終わり。
最低限のアフターケアなどが必要な場合はありますが、それ以降ストレスを感じるやり取りが継続されることはありません。
税理士のような顧問業務の場合、そうはいきません。
契約が続く限り、関係も続きます。
たまに顧問先のグチを聞かされることもありますが、「自分はスポットでよかった」と正直に思ってしまいます。
顧問先との人間関係に悩んでいる税理士・社労士は非常に多い。
月額報酬を得る代わりに犠牲にしているものもあるわけですね。
スポットの案件しかなかったとしても、継続的に案件を獲得し続ける仕組みができれば、人間関係に煩わされたくない士業にはピッタリだと思います。
実はストックされているものがあることに気付いてほしい
スポットの案件しか仮になかったとしても、誠実な対応を続けることでストックされているものがあります。
それは「信用」と「信頼」です。
売り上げは単発かもしれない。
しかし、業務を誠実に行うことで得るものは報酬だけではありません。
必ず「信用」と「信頼」がセットで付いてきます。
開業一年目はまだまだ。
二年目、三年目、四年目、五年目、六年目…。
紹介がどんどんと増えていくのは「信用」と「信頼」が積み重なったからに違いありません。
実は、この「信用」と「信頼」がストックされていく、ということに気付いていない方が多い。
だから、「売り上げが不安定だ」と新規事業に手を出し、事務所経営を安定させようと試みるのですが、うまくいかない事例が多いのかなと。
そもそも、「信用」と「信頼」を基盤にして成り立ってきた事務所経営ですから、その基盤を壊すような事業に手を出してはいけないわけです。
「信用」と「信頼」は目に見えないもの。
しかも、自分が一番理解していないことが多い。
こんなときは「開業時から現在でもお付き合いを継続できているひとが何人いるか」がわかりやすいかもしれません。
「信用」と「信頼」を失ったときは自然と離れていくものですから。
さいごに
まあそれでも月額報酬はうらやましいですよね笑
単発の案件だけだと再来月以降の売り上げ見込みはゼロですからね。
でも、結局6年以上事務所経営を続けています。
周りの司法書士さん・行政書士さんもみんなそう。
誠実に案件に対応し、「信用」と「信頼」をストックし続けている結果だろうなと。
だから、新しいビジネスをはじめるときは、この「信用」と「信頼」の上に成り立っているかどうかが成功のカギなのかなと私は思います。
流行に乗っかるのもいいのですが、売り上げだけを追い求めるといつか足元をすくわれる。
そんな気がします。
「単発の売り上げしかない…」
大丈夫です、そのまま誠実に仕事を続けることでストックになるものがあるのですから。
それを証明しているのが先輩士業のみなさんの存在になります。
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