私が銀行業務を受けない7つの理由

「独立したなら銀行に営業行かないと!」
これは司法書士なら誰もが言われた経験があるのじゃないでしょうか。

住宅ローンを組めば抵当権(担保)を設定します。
他行のほうが金利が低いと見れば借り換え(もっと金利が低いところから借りて、それを今借りているところに返済する)を行います。
住宅ローンの返済が終われば、抵当権を抹消する手続きをします。

これらすべてに司法書士の登記手続きが必要になります。
依頼するのは基本的には銀行です。
だから「司法書士として独立したなら銀行に営業行かないと」という話になります。

銀行業務を主な業務として発展している司法書士事務所は多いです。
地方は顕著かもしれません。
司法書士事務所の発展は銀行業務抜きには語れないと言っても過言ではないです。
このことに異論を唱える司法書士はいないはず。

それで私はどうなのか、と言いますと。
まったく営業をしたこともなければ、する気もありません。
むしろ、銀行業務は受任したくないのです。

今日はその理由について。

スケジュールが決められない

「先生、来週の◯曜日に融資実行しますので登記お願いします」
融資が実行されれば必ず当日に登記を申請する必要があります。
無担保の状態を少しでも避けるためです。
融資の実行日は基本的に銀行側の事情で決まります。
司法書士の予定は考慮されません。
いつ入るかわからない融資実行の予定。
他の予定に与える影響は大きいです。
リスケジュールなんてとんでもない。
おちおち病気もできないですね。

連絡手段が少ない

リ「メールで送っていただいてもよろしいでしょうか?」
銀「あいにく当行はメールでの個人情報のやり取りは認められておりません」

というわけで、銀行とのやり取りは電話かFAXがほとんどです。
この時代に。

担当者は不在にしていることが多いのでなかなか捕まらない。
こちらも不在にしていることが多い。
もうこれはストレスです。
FAXもハッキリ言って面倒。
ちょっとしたやり取りで不便を感じることこの上ないです。
17時過ぎたら自動音声になる銀行もあり、もうどうしようもないです。

事務所に来ない

基本的にこちらから銀行に出向く必要があります。
慣習でしょうか。
融資を受けるお客様のところには訪問するんですけどね。
司法書士事務所に書類を届ける担当者はあまり聞いたことがありません。(農協くらいかな)

というわけで移動コストがかかります。
担当者の都合のいい時間を聞くのに前述の連絡手段の少なさから苦労することも多いです。
業界として「司法書士がこっちに来るのが当たり前」という状態です。

というか予定の時間に行っても担当者がいないとか日常茶飯事です。

担当者のさじ加減

司法書士に依頼するのは担当者もしくは支店長の権限です。
それまで当然のように取り引きがあっても急になくなるのが銀行業務。

そう「異動」です。
異動により担当者が変わったことによって仕事をなくしている司法書士は多いです。
つまり、司法書士に何の落ち度もなく売り上げが減ります。

これは非常に恐ろしい。
売上のほとんどが銀行業務だとしたら…。
考えるだけでも怖いですね。

下請けのリスク。
切られるときは非情なものです。

同業司法書士との摩擦

基本的に銀行(担当)には懇意にしている司法書士がいます。
ひとつの事務所が独占していたり、リスクヘッジのために2,3事務所に割り振っていたり。
この事務所をスイッチすることは実はめったにありません。
よほどのミスを犯したときくらいでしょうか。
大御所先生の牙城を崩すのは簡単ではありません。

新人の司法書士が支店に出入りして営業するとすぐに大御所先生の耳に入ることも。
縄張り争いは怖いですね。
取った取られたとかめんどうです。
同業とは仲良くしたいものです。

だって、仕事で何かあったときに助けてくれるのは同業しかいないですから。

やりがいがない

ハッキリ言って私は銀行業務からやりがいを見い出せません。
リスクはめちゃめちゃ高いのに下請け扱い。
お客さんとの接点も非常に少なく作業的。
せめてお客さんとのコミュニケーションがあればやりがいを見い出せるものですが、窓口が銀行担当者のためにほとんどありません。
本人確認・意思確認の連絡くらいです。お客さんも面倒でしょう。
残念ながら無愛想なことが多いです。
「俺はこんなことをやるために司法書士になったのか?」と自問自答。
なんだか虚しくなる瞬間でもあります。

雇用せざるを得ない

雇用すること自体は非常に重要なことですが、銀行業務のために仕方なく雇用するのは本末転倒です。
結局、銀行業務を数多く回そうとするとマンパワーが必要になります。

誰かが銀行に行かなくてはならない。
誰かが法務局(登記所)に行かなくてはならない。
誰かが事務所にいなくちゃいけない。
誰かが…。

とにかくマンパワーが必要になります。
私がひとり事務所でうまくやっているのは銀行業務がゼロだからです。
自分のペースで仕事できているからですね。
だから雇用の必要がないのです。

銀行業務をこなすためにスタッフを雇用して、広い事務所を借りて、パソコンや業務用ソフトを揃えて…。
担当者が変わってまったく仕事が来なくなったらどうしましょう。
恐ろしいですよ。

さいごに

以上、7つの理由をお伝えしました。

誤解を与えないようにお伝えすると、私は銀行に恨みがあるわけではありません。
「自分が司法書士として社会のために何ができるのか」を考えたときに非常に不合理なものを感じたからです。
銀行との付き合い方に関してはひとそれぞれ考え方があると思うので、それがいいという司法書士もいるでしょう。
それはそれで全然構わない。私がイヤだというだけで。

あれだけ勉強して、難しい国家資格を取得して。
合格してからも高い費用出して研修受講して、高い専門書買って。
困っているひとの役に立ちたい、世の中の役に立ちたい。

それがなぜ独立すると銀行の下請けにならないといけないのか。
本当にそんなことがしたくて司法書士になったのか。
合格を目指していたときに抱いていた希望や野心はどこにいったのか。

私はそれが疑問でした。
「なんでみんなそっちに行くの?」

一度足を踏み入れるとなかなか抜け出せないのが銀行業務。
私は独立する前に誓いました。

どんなに売り上げが少なくても銀行に頭を下げるのはやめよう。
俺がやりたいのはそんなことじゃない。

現在、独立して7年目。
おかげさまでなんとか銀行業務に頼らずとも経営が安定してきました。
何より精神的に安定します。
自分でコントロールできるというのは、独立してからの醍醐味だと思うのです。

銀行業務をバカにするつもりは毛頭ないですが、司法書士として自分がやることがはたしてふさわしいのかどうか。
それくらいは考えてもいいのかなと思います。

その業務、あなたじゃなくちゃいけない理由はなんですか?

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