
「法改正」という波をどう乗り切るか
今日は「法改正」について。
2つにテーマを絞って書きます。
その2つとは「雇用」と「ビジネスモデル」。
「法改正」によってこれまでどう変わったのか。
平成15年4月1日より司法書士の世界に飛び込んできた私の経験を元にお伝えします。
雇用に一番の変化が起きたのは不動産登記法の改正
平成17年に不動産登記法が大改正されました。
※詳細は省略します。
その中で一番雇用に変化を与えたのは「出頭主義の廃止」です。
出頭主義とは、登記申請する場合、登記所(法務局)に直接申請書を持参しなければならない。
つまり、郵送での申請も、オンラインでの申請も認められていませんでした。
一日に登記所ごとに何件も申請がある場合。これはもう旅です。
一日中登記所を回ってその日の業務がおわり、というのはしょっちゅうでした。
また、完了したら直接登記所に完了書類を取りにいかなければいけない。
もうひとがいないと仕事が回らないわけです。
登記所に行くだけのバイトを使用していた事務所もかなりあったと思います。
※ちなみに、登記所の周辺に司法書士事務所が多いのはそのときの名残です。
この出頭主義が廃止され、郵送申請やオンライン申請が認められるようになった。
登記所に行く必要がなくなったわけです。
この改正でかなり効率的に仕事ができるようになったと言っても過言ではありません。
それくらいこの改正が雇用や実務、経営に与える影響は大きいものでした。
「10年」という役員任期がもたらした収益モデルへの影響
平成17年の不動産登記法の大改正以上に影響が大きかったのは、平成18年に施行された「会社法」でしょう。
「資本金規制の撤廃」や「合同会社の創設」など、こちらも例を挙げればキリがありません。
「役員の任期が最長10年になった」のも会社法の施行からです。
今日お伝えしたいのは「役員の任期が最長10年になった」ということでどんな影響があったのか。
このことが司法書士の収益モデルにかなりの影響を与えました。
役員の任期はそれまで最長取締役が2年、監査役が4年でした。
役員に変更がなくても最低でも2年ごとに登記をする必要があります。
この2年ごとの登記が顧問型のビジネスモデルではない司法書士としては唯一の定期的に発生する業務でした。
会社が存続している限りは必ず行う登記です。
200社管理してる会社があれば平均でも月に8,9件の役員変更登記があるわけです。
(200社÷24か月で計算。)
この2年ごとの登記が「役員の任期を最長10年まで伸ばせるようになったため」急激に減りました。
この改正が収益に与えた影響は大きいです。
「法改正」という波をどう乗り切るか
それで、タイトルに戻ります。
「法改正」はいつ起きるかわかりません。
しかし、必ず起こります。
一度の法改正がこれだけの影響を与えます。
「どんな法改正が起きても対応可能な事務所にするのか」
「どんな法改正が起きても影響しないビジネスモデルを作るのか」
この2つがこれからの事務所経営において重要なポイントだと私は考えます。
どっちに比重を置くのかはそれぞれの判断だと思います。
「法改正 ピンチと見るか チャンスと見るかは 自分しだい」
お後がよろしいようで。
類似の記事:
- 【改正】役員の登記の添付書面が変わります(平成27年2月27日から)
- 【改正】代表取締役の全員が日本に住所を有していなくても登記が受理されることになりました。
- 平成28年10月1日以降の登記申請にあたり、登記すべき事項につき株主総会の決議を要する場合「株主リスト」が登記の添付書面となります
- 一般社団法人の役員変更登記、もしかして放置していませんか?
- 私が法人登記を積極的に受任する3つの理由
人気の記事:
- 司法書士報酬の源泉所得税はなぜ一万円を引くのか(81916pv)
- 登記懈怠・選任懈怠による裁判所からの過料通知はこんな文書で来る(35241pv)
- 「心を亡くすと書いて忙しいと読む」でも大事なことはそこじゃないと思う。(30188pv)
- 開業5年目の司法書士である私が、独立してからも順調に経営を継続しているひとの特徴について本気出して考えてみた。(21791pv)
- なぜ、司法書士試験の受験者数が激減しているのか(21670pv)